【改正派遣法のポイント解説④】 マージン率等の情報公開
2012/10/15
派遣会社の方と話しをしていて多いのが、「なぜ、マージン率を公開しなければいけないの?」のいう声。
こんな不満や愚痴をもらす人は、少なくありません。
「マージン率」とは、簡単にいえば、派遣料金(売上)と派遣賃金(人件費)との差額。
いわば粗利のようなものですね。
今回の改正で、これを公開しなければならなくなったのです。
国から許可を受けなければできない業務は数多くありますが、これほど厳しい報告を義務づけるケースは少ないですね。
これからは、きっちりとした対応と実務処理が必要になってきます。
ただ、マージン率は、派遣社員1人1人のものではなく、派遣契約単位でもなく、あくまで事業所全体の平均です。
ここは、けっこう勘違いしている人が多いですね
派遣社員Aさんなら、Aさんの派遣料金と賃金から、1人分のマージン率を計算するわけではありません。
具体的にAさんに関するマージン率を報告する義務があるわけではまったくないので、この点は安心してください。
あくまで平均額が計算されるに過ぎませんから、以前一部の論調にあったように、派遣会社のマージンがそのまま公開されるわけではありません。
計算するのは事業所単位であり、会社単位ではないため、この点は注意する必要があります。
マージン率の公開については、「派遣会社いじめ」ではないかという声もあります。
私も、そこまではいえないにしても、この公開じたいの意義には悲観的です。
ただ、行政の関係者や専門家の方と話しをしていると、印象を少し違うようです。
労働局の説明会などでも、「マージン率の金額で判断することはない」と語られ、決して「いじめ」ではないという解説に力が入っています。
そう、正確に算定して公開すれば、この点はそれでOKです。
ただ、ホームページに公開するにしても、パンフレットに掲載するにしても、見せ方は大切ですね。
すなわち、法定の項目以外にも、管理費や福利厚生費などの内訳を示した方が、かえって正確に趣旨が伝わる。
派遣会社は、決して人件費の「ピンハネ」をしているわけではないのです。
それでも、世間では、一部にそうした声があることも事実です。
法改正がされたからこそ、これからはさまざまな工夫が必要になってきますね。
もちろん、法律(省令)で定められた方法でマージン率を計算しなかったり、適切に公開しなかったりしたら、大きな問題です。
結果的に厳しい指導を受けたり、管理状況が問われることもあるので、十分に注意していただきたいです。
マージン率やその公開方法について疑問がある方は、お気軽にご質問ください